収益性、信頼性を最大限実現した太陽光発電所を作るために | 理想収支立案編-仮設定発電所の発電量算出(理論値)

テクニカルインフォ
2017年08月14日

前回のPV仮設定により、太陽光モジュール260Wを2340枚
すなわち出力規模にして608.4kWという条件で割付けを行いました。
因みに設置角度:10°、方位角度:0°です。

これを基に発電量を算出するにあたり、
まずは算出方法からご紹介していきたいと思います。

一般的に発電量シミュレーションは
モジュールメーカーや専門ソフト会社が
ソフトを制作しており、それを利用すれば簡単にできますが、
ここでは算出のための理論をご紹介します。

太陽光モジュールの出力合計発電電力量の計算は、
『JIS C 8907 2005「太陽光システムの発電電力量推定方法」』
に準じて行いますが、太陽光モジュールの特性と
地域環境等を勘案して客観的妥当性のある計算方式に
補正したものに、アレイ~系統連系端までの
各損失をも考慮して、年間想定発電量を算出する必要があります。

日射データ、外気温データは『METPV-11』を採用し、
『太陽光モジュール出力』は、時間毎に算出した上で
すべての値を積算するものとします。
風速は考慮いたしません。

※『METPV-11』とは?
 NEDOの年間時別日射量データベースを言います。
 国内837地点・20年間(1990~2009年)の
 日射量データベースを用いることにより、
 各時間の方位角別、傾斜角別の日射量が算出でき、
 方位角別、傾斜角別の発電量の推定にご活用できます。
 その他、降水量や気温等も把握することができます。

まずは「太陽光モジュール年間発電量」を求めてみましょう。

太陽光モジュール年間発電量Epy(kWh/年)=Σ㋀~㋋{ K₁ × Pas × Ham / Gs (kWh/月) }

ここで「Pas」とは太陽光モジュール容量(kW)のことで、
1秒あたりの太陽光モジュール総出力を表しており、
モジュール1枚当たりの出力 × 枚数です。

今回の仮設定により、Pas=260W×2340枚=608.4kWという事になります。

ここから各諸量について説明いたしますが、
「K₁」は月別総合設計係数といい、
太陽光モジュール出力のバラつきや、回路損失、
機器による損失などを補正するための係数で
K₁=K′×Kptと表されます。

K′は基本設計係数であり、システムを構成する機器に対する補正係数を含み、
系統連系型や独立型といったシステム構成の違いを反映した
補正係数を用いる必要があり、
蓄電池を持たない系統連系型太陽光発電システムの場合、
K′=Khd × Kpd × Kpm × Kpa × ηinoで表されます。

Khdは日射量年変動補正係数といい、推定した期間日射量の正確さを
表す補正係数で、JISの推奨値は0.97です。

Kpdは経時変化補正係数といい、汚れ、効率劣化、ガラス面反射を
考慮した補正係数で、JISの推奨値は0.95です。

Kpmはアレイ負荷整合補正係数をいい、JISの推奨値は
連系型の場合0.94です。

Kpaはアレイ回路補正係数をいい、JISの推奨値は0.97です。

ηinoはインバータ(パワコン)のDC入力毎における実行効率をいい、
JISの推奨値は0.9です。したがって、

となり、

となります。

Kptは温度補正係数といい、
Kpt=1 + αPmax(Tcr - 25) / 100と表されます。

αPmaxは最大出力温度係数といい、
モジュールによって異なりますが、-0.38%/℃が平均的です。
これは使用される太陽光モジュールのデータシート等で確認できます。

Tcrは加重平均温度といい、
日射プロフィールで重み付けしたモジュール温度の平均値と
解釈でき、平均気温Taと強い相関があるので、Taを用いて計算します。
今回は仮でTcr=15といたします。

よって、Kptの値はKpt=1 + (-0.38%/℃)(15-25)/100=1.038となります。

Hamは月積算傾斜面日射量(kWh/(㎡・日))であり、
Ham=Hs × 日数 と表されます。
Hsは月平均日積算傾斜面日射量をいい、
『METPV-11』より算出する事ができます。
今回の仮割付けは香川県東かがわ市にて行い、
傾斜角:10°(平地で架台設置角度10°)、方位角:0°なので
そのパラメータをMEPV-11に入力し検索した結果、
以下のようなデータが表示されます。

このデータより月平均積算傾斜面日射量が算出できます。
積分計算になりますが、今回の割付け条件を基に計算すると
Hs=3.888…..≒3.89kWh/㎡であり、
Ham=Hs × 日数=3.89 × 日数となります。

Gsは標準試験条件における日射強度(kW/㎡)をいい、
JISの推奨値として1.0でよろしいかと存じます。

したがって太陽光モジュール年間発電量は、

Epy(kWh/年)=Σ㋀~㋋{ 0.78888 × 608.4 × (3.89 × 日数) / 1.0 (kWh/月) }

であり、

Epy = Σ㋀~㋋ { 1867.02 ×日数 }
  = 1867.02 × 365
  ≒ 681,463.53(kWh/年)

となります。

とはいえ、このようにご自身で計算されるとなると
非常に手間がかかりますので、モジュールメーカーもしくは
ソフト会社が制作したシミュレーションソフトをご利用される事を
お勧め致します。

このようにして、収支シミュレーションのために
年間発電量を求める必要がございます。

次回は「初期投資費用の算定(概算)」について
ご紹介いたします。